常滑の歯医者 久野歯科医院です
皆様に役に立つ歯科の情報をわかりやすくお知らせします
全身疾患と歯周病
歯周病と全身疾患の関係については久野歯科医院のコラムで以前からお知らせしてきましたが、全身的な疾患は歯周病の病状を悪化させたり、歯周病自体が全身疾患に影響を及ぼしたりしています。
歯周病は多くの全身の疾患と,とても関連があります。
ここでもう一度、代表的なものついて復習しておきましょう
遺伝的疾患
遺伝子の異常に関連ある疾患に歯周病は関連しています。
ダウン症候群、パピヨンル・フェーブル症候群、チェディアック・ヒガシ症候群、などはお口の中の症状として発現して急速に進行します
環境的因子
喫煙
喫煙は歯周病の環境因子からみても、最大のリスクファクターです
喫煙は肺がんなどの多くの肺疾患に大きく悪影響を与えます。
喫煙者は非喫煙者に比べて2~8倍歯周病にかかりやすいと言われていて、お口の中の毛細血管に悪影響を及ぼし歯周病の治りを悪くします
ストレス
ストレスは歯周病の重篤度と相関しています。ストレスは人によって違い、ストレスを生むストレッサーは多様です。
ストレスが誘導する精神の緊張状態が歯周病のリスクを上昇させるといわれています。
交感神経により唾液の分泌が減少することも大きな原因でしょう
肥満
肥満の人は歯周病にかかりやすく、高脂血症やインスリン抵抗性などが関連していると考えられています。
歯周病菌のだす毒素で肥満がすすみ、その結果脂肪が増えて脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインが歯周病を悪化させ、悪循環を生みだします
加齢
年齢を重ねることによる肉体的変化はお口の中にも起こります。
免疫力の低下、唾液の分泌量の減少、歯槽骨量の減少、骨の硬化、歯肉の退縮、歯の咬耗・摩耗、歯質の変性など加齢による口腔内環境の変化が歯周病の進行に影響を与えます
全身疾患
糖尿病
歯周病になると分泌される炎症性サイトカインがインスリンの働きを妨げ、血糖値が上がるといわれています。
高血糖により血管が傷ついて末梢血管の循環が悪くなり歯周病が悪化します
糖尿病・肥満と歯周病は相互に危険因子となっています
心臓病
歯周病による動脈硬化が生じ心臓の血管を詰まらせて血栓をつくって、狭心症や心筋梗塞につながるとの報告が多く寄せられています。
細菌性心内膜炎に患者から歯周病菌が発見されていて心臓病と歯周病との関係が強く疑われています
呼吸器疾患
歯周病菌の含まれた唾液が気管を通過して肺に入ると誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
高齢者は筋力の低下や飲み込む力が低下して誤嚥が起きやすくなります。
肺炎は日本人の死因の第3位です
認知症・脳血管疾患
歯周病による動脈硬化は循環器系だけでなく脳血管にも影響を与えます。
歯周病菌の作り出す炎症性のサイトカインが血栓を形成して脳血管型認知症の原因となりえます。
アルツハイマー型認知症との関連も示唆されています
リウマチ
手足の関節が腫れて痛みやこわばりを生じるリウマチは膠原病の代表的な疾患ですが歯周病と同様に炎症性サイトカインとの関係が示唆されていてリウマチ症状が歯周病治療により軽減することが報告されています。
悪性腫瘍(がん)
お口の中にできる悪性腫瘍(がん)はお口の中の清掃状態に左右される傾向があり、食道がんではがんに罹っている部位より特定の歯周病菌が検出された報告もあり、大腸がんでも因果関係が研究されています
ライフイベント(妊娠・出産、閉経後)に応じて注意が必要な疾患
早期低体重児出産
歯周病になると分泌される炎症物質が子宮の収縮を誘発し、早産や低体重児の出産につながる事があります。
妊娠中は女性ホルモンが多く分泌され歯周病や炎症が起きやすくなります
骨粗鬆症
歯周病の炎症物質は歯だけではなく全身の骨の代謝に悪影響が及び、骨粗鬆症が進行してしまいます。
骨粗鬆症では歯を支えている歯槽骨も、もろくなり歯周病が進行しやすくなります